今週のお題「雨の日の楽しみ方」
~カエルとの出会い~
1番古い雨の日の記憶は4才くらいの時。
雨ガッパを着せられ、保育園に向かうため母のマイカー(ママチャリ)の荷台に乗せられた。
幼児を前に乗せるやつに小さな弟を傘さしながら必死でセットしている母の背中をぼんやり見つめながら少々強めの雨音に耳を傾けていると、今までの人生で(たかが4年だが)聞いた事の無いような音が自分の右側で響き渡った。
瞬時に右向け右!をすると、家の花壇にこれまた見たこともない程の巨大な白いカエルらしきものが視界に飛びこんできた。
幼い頃はとてもピュアで愛らしかった桃益は子供の可愛らしさを前面に出しながら母に問う。
愛らしい桃益「あれ、カエル?」
母はその巨大生物を凝視したまま固まっていた。
桃益は母の反応がどういったものなのかがわからなく、暫し悩む。
母は何故黙っているのか。
母は何故カエルをじっと見つめているのか。
カエルと心で話をしているのだろうか。
もしや母は・・・・・・
ここまできて桃益の中でなにやら確信めいたものが浮かんだ。
そのタイミングでカエルがもう一度咆哮(ほうこう)をあげる。
凄い声だ。
母はビクッとし、それからさもなんでもないようにポツリと言った。
母「ウシガエルだね」
このひと言で桃益の≪確信めいたもの≫だったものが≪確信≫へと変わる。
愛らしい桃益「よし、飼おう!」
荷台から飛び降りカエルに向かおうとする桃益を母が制止した。
母「だ、ちょ、飼わないwww飼わないよ!www」
何故か笑いだす母。
愛らしい桃益「なんで?」
母「ほらwwwあれだからwww飼うと可哀想だからwwwはい、保育園いこう!」
全くもってわからなかった。
母はこのカエルが好きに違いないだろうに、こんなに巨体で声も凄くて真っ白で綺麗なカエルはこの先出会えないかもしれないのに。
何故飼うことを許されないのか。
後ろ髪引かれる思いで登園したのがきっかけかなんなのか、その後は雨が降るとカエル探しをするのが桃益の1番の楽しみとなった。
今ならわかる。
あの時母はかつて無い程の動揺に見舞われていたことが。
≪蛇に睨まれたカエル≫ではなく、
≪カエルに睨まれた母≫だったのだ。
人は恐怖を感じると笑いが出てくる事があると聞くが、それが本当ならあの時の母はまさしく恐怖を感じていたのだろう。
大人の両手を合わせてもはみ出るくらいのサイズだったから。
今見たら桃益もそっと会釈して通り過ぎる。
ていうかこの時に見たカエルのせいで大人になるまでウシガエルは白いものだと思い込んでいた。
初めてウシガエルを調べた時、どんなに調べても白いウシガエルが見つからず驚いた記憶がある。
アルビノだったのだろうか。
はたまた神の化身だったのだろうか。
神の化身だったなら・・・・・・捕まえなくて良かった。
まぁアルビノだったのだろう。
~時は流れて~
小学生になった桃益の雨の日の遊び方は、もっぱら傘をブンッッ!!と振っていかに1回で裏返すかで必死だった。
その為、桃益の傘はいつもどこか骨が折れていた。
裏返した傘を差し、凹←こうなった傘に雨水を貯めるのが至上の喜び。
骨が一本折れているとその場所から雨水が流れていくので、それをいかに受け口で飲めるかなんて事もやっていた。
後に酸性雨情報が拡散され、その遊びは敢えなく断念。
ハゲないように頭だけはちゃんと雨から守るようになった。
~そして今~
桃益の血を色濃く受け継いだ我が子達はいかにびしょ濡れになるかを競いながら帰ってくる。
昨日だか一昨日、娘達を迎えにいったところ、当時のトーマスのように裏返した傘を差している娘を見て少し笑った。
大人になると雨はめんどくさいものでしか無くなるが、娘達の姿を見て当時の感覚を思い出し雨がまた好きになってきた気がする。
雨だと外に出れない分、家の中だけに専念できると思えばそう悪いものでもない。
ある程度やることが終わってから好きなコーヒーや紅茶を嗜み、読書にいそしんでいる時が雨の日の至福。
雨音というBGMがあるからなおのこと豊かだ。
いつもあなたが笑顔でいられますように。